ソリューション事例

老舗洋食屋「たいめいけん」のあのオムライスが、スイーツに!

食を通して新たな価値を提供するために、常識にとらわれず、今までにない味や食感を追求し続けています。ここでは杉山商事が、昭和6年創業の洋食屋・たいめいけんとのコラボレーションを通して実現したスイーツシリーズをご紹介します。

事例①

オムライスみたいなマンゴープリン「マンゴーオムプリン」

ジューシーなマンゴープリンと、ふわとろミルククリーム、濃厚カスタードの3層で構成された「日本橋たいめいけん」の魅力が詰まったスイーツ。イチゴジャム付き。

事例②

クレープでつつんだオムライスみたいなケーキ「フルーツオムケーキ」

たっぷりカスタードと、しっとりスポンジが絶妙な食感を醸し出す、半解凍、アイス感覚で楽しめる逸品。多彩なフルーツのトッピングもうれしい。イチゴジャム付き。

事例③

たいめいけん三代目と、鉄人・坂井宏行シェフが最強のタッグを組んだ「林檎と洋梨の贅沢パイ」

茂出木シェフとフランスレストラン「ラ・ロシェル」の坂井宏行シェフがコラボ。食べ応えと味わい深さ、後味にフワッと香るスパイスがクセになる、サックリ贅沢パイ。

― 三代目・茂出木浩司氏が、新スイーツの発案者

長井洋食の老舗「日本橋 たいめいけん」さんと当社は古くからおつきあいがあり、新年会などの社内行事の際によくご利用させていただいていました。

桜井2013年に「たいめいけん」さんで新年会を催していた際、三代目・茂出木浩司氏がみずから宴席までごあいさつにいらしてくださったんですが、その時何気なく「オムライスのカタチをしたプリンって作れませんか?」と、シェフからご提案がありまして。オムライスといえば、「たいめいけん」さんの看板メニューです。お話をうかがった瞬間、とても面白いけど、これは責任重大!と思いました。

長井私もその場にいたのですが、茂出木シェフの発想力の豊かさに驚かされましたが、あの時はまさか、シリーズ展開の人気商品になるとは思っていなくて……(笑)。

―オムライスみたいな「マンゴーオムプリン」

桜井早速オムライス型のカップを探し始めたのですが、希望に適うものがなかなかみつからず、困った果てに出会ったのがパイタルトでした。

長井型がみつかった後も、マンゴーの果肉の仕様について改良が重ねられ、結局、最初のサンプル完成まで半年くらいかかったんだよね?

桜井そうです。さらにケチャップ代わりのイチゴジャムの開発に加えて、質のよいマンゴーは原材料費としてとても高価なので、コスト面での調整も必要でした。

長井社内で何度も打ち合わせを重ね、最終的にマンゴープリン&ミルククリーム&カスタードの3層構造でいこうと方向性は定まったものの、試行錯誤を重ねた末の試作品ということもあって、「たいめいけん」さんでの最初のプレゼンはかなり緊張しました。

桜井私もとても心配していたのですが、その心配は何だったの?と思うほど、商品を手に取るなりいきなりお皿に盛りつけ始めた茂出木シェフは、2パターンのデコレーションをパパッと作成。テレビでもおなじみの明るいノリで「これ、写真に撮っておこうよ!」と(笑)。

長井仕様面ではシェフにほぼご満足いただけたのですが、当社が苦心した点は球体の形状を維持しながら、プリン表面のプルプル感やなめらかさをいかに演出するかという点。製造過程では「逆仕込み」などの手法も用いられていますが、結果としてお客様から高い評価を頂戴する商品が完成したことで次なる商品への弾みがつきました。

―クレープ生地を使った「フルーツオムケーキ」

長井翌2014年春に新作スイーツを茂出木シェフにご提案したところ、「ぜひやりましょう!」と(笑)。ただご期待いただいているということもあり、プランニングにかける時間は非常に重要と考えていました。

桜井私も「マンゴーオムプリン」とは趣向を変えたものにしたかったので、着想を得るため製造委託工場に見学に行ったんです。その時、錦糸玉子やクレープ生地を焼き上げる機械が偶然目に止まって……。その瞬間「オムライスの玉子の代わりにクレープ生地を使ったら面白いかも」とひらめいたんです。それが「クレープでつつんだオムライスみたいな『フルーツオムケーキ』」の開発のきっかけに。

長井着手段階では「たいめいけん=オムライス」、さらに「既存のクレープやスポンジケーキに劣らないクオリティ」、この2つは絶対に譲れないポイントと考えていました。

桜井そうした経緯もあって最初に茂出木シェフに試作品をご試食いただく際は、「マンゴーオムプリン」同様とても緊張しましたが、お皿に取り分けたケーキを食べた瞬間「これはいい。見た目も面白いし、食べてもおいしい。いろんな意味で話題になるケーキですね」というお言葉を茂出木シェフからいただいて……。あの時私は冷静さを装っていましたが、心の中ではもう万歳三唱でした(笑)。

―たいめいけんとフレンチの達人・坂井宏行のコラボ商品!

長井次に開発した「林檎と洋梨の贅沢パイ」はさらに趣向を凝らすため、茂出木シェフと坂井宏行シェフとのコラボ商品をご提案することに。どちらのシェフも知名度抜群なので、ご購入された方がワクワクするような商品にもしたかった。

桜井それに、お二方とも普段はとても穏やかなのですが、やはり料理や味の話になるとカチッとスイッチが入る一流のプロ。そのため最初の試作では、坂井シェフから「パイが柔らかい」「果実がゴロゴロしていない」「黒こしょうの辛みが足りない」といった具合に改良点が提出されたんです。でも、ひとつひとつのご意見は「なるほど」と納得することばかり。やはりプロは違うなぁと感心させられっぱなしでした(笑)。

長井シェフに試食していただいたのは2回でしたが、最初の試食までに5回ほど社内で、形状、素材、風味、食感、色などの面から試作を重ね、最終的に7度目の試作品でGOサインをいただくことができました。

桜井「林檎と洋梨の贅沢パイ」は、林檎は茂出木シェフ、洋梨と黒こしょうは坂井シェフのこだわりが反映されており、お二人のネームバリューからも当然注目度は高くなることが予想できました。そのため製造過程では一瞬たりとも気を抜けませんでしたが、今ではわが子のようにかわいい存在ですね。

長井商品の要となるスイーツそのものも重要ですが、今シリーズではパッケージのイラスト、文字にも徹底してこだわっています。昭和6年創業の老舗「日本橋 たいめいけん」を醸し出す昭和レトロな文字をはじめ、商品説明文もすべてデザイナーの手描き。商品企画部のやりがいはこういうところにもあると言えますね。

桜井実際に商品を手に取られたお客様には、スイーツはもちろんパッケージにも着目していただけるとうれしいですね。

長井目下開発中の次の商品についてはまだ詳細を明かせませんが、かなり手応えのある商品が完成する予定です。皆さんのお手元に届く日が、今から待ち遠しいですね。

たいめいけんHP

昭和6年(1931年)に創業した、東京・日本橋の老舗洋食屋。店のルーツは、京橋通りの「泰明軒」本店で初代店主の茂出木心護が修行をしたことで、茂出木が育て上げた味と料理への想いが代々受け継がれてきた。現在は三代目の茂出木浩司が店主を務め、長年変わらない味が多くのリピーターを引き寄せる。1Fではカレーやオムライスなどカジュアルな洋食、2Fのレストランでは本格的な洋風小皿料理を提供。また、数多くのオリジナルやコラボレーション商品も手掛けていて、常に食の進化に貢献している。

茂出木 浩司

1967年生まれ。東京・日本橋にある西洋料理の老舗『たいめいけん』の三代目シェフ。高校卒業後、語学を学ぶため渡米。帰国後、いくつかの料理店で修業の後、1994年にたいめいけんに入社。2001年には日本橋三越の地下に惣菜販売『デリカテッセン・ヒロ』を、続いて都内各所に「洋食や 三代目 たいめいけん」という姉妹店舗を開店させるなど、事業を拡大させている。

NAGAI SHINICHI長井 信一商品企画部 部長代理

SAKURAI AYA桜井 彩商品企画部

このプロジェクトを担当したプロデューサーについて

pageTop