ソリューション事例

日本の大手製パン会社とライセンス生産。世界で愛されるローマンミールブレッド。

杉山商事では、食品の企画開発に携わり、付加価値の高いソリューションを提供していくプロジェクトを推進しています。 その取り組みの中で、パートナーとして商品開発のコラボレーションをしている日本ローマンミール社の吉原のりお氏にお話を聞きました。

―朝食での統計調査によると、パン派がごはん派を超えたといわれていますが?

そうですね。忙しい現代人は「朝はギリギリまで寝ていて、朝食は手軽なパンですませる」という人が増えているようです。わたくしども日本ローマンミールも、日本を代表する大手製パン会社さんと長きにわたってお取引させていただいており、米国の親会社・ローマンミール社が手がけるブレッドは、全世界中の人々に愛されている老舗ブランドです。150年の歴史をもつローマンミール社は、日本、メキシコ、バハマ、アジア諸国を含む約150の製パン工場にてライセンス生産されています。日本でも多くのパンの原料としてローマンミール製品が使用されていますので、私個人としても「パンが好き!」という人が増えてくれるのは、とてもうれしいことですね。

―パンにまつわる最近の傾向やエピソードはございますか?

パンは種類が多い分、クロワッサンがブームになったり、マフィンに注目が集まったりと、四季を問わずさまざまなブームが起きている活気のあるジャンルです。また、昨今のヘルシー志向への意識の高まりは周知の事実ですが、先日もアメリカのホテルで、ある象徴的なシーンを目にしたんです。
それは朝食ブッフェでのことだったのですが、一見エグゼクティブ風の30代後半の男性が、ブッフェのブレッドコーナーで白いパンと茶色がかった全粒粉パンを見比べて、瞬時迷った後に全粒粉のパンを取り、席に着いたのです。そしてその後、数人の男性が同じく全粒粉パンをチョイス。そこで私は米国の友人にその話をしたところ、エグゼクティブクラスのビジネスパーソンは、「白、茶色」のブレッドからどちらかを選択する場合、後者を選ぶ傾向にあると言うのです。確かに全粒粉のパンは味も香ばしく、ヘルシー志向の方に人気が高まっています。一方で、日本では「真っ白」の食パンが主流ですが、乾燥フルーツを多く含んだシリアル食品が人気を博していることもあり、今後さらなる健康・美容志向の高まりによって、パンにおいても茶色がかった全粒粉の製品が食卓の主流になるかもしれませんね。

―食パンの主流が「白」から茶色に変わるということは?

これはわたくしどもにとっても大きな変化です。米国から数多くの穀物を輸入する日本ローマンミールにとっては、その銘柄・種類に大きな変化が生じるということですから。わたくしどもが米国のローマンミール社から輸入するホールグレインミックス(全粒穀物=大麦、コーン、雑穀、麦、米etc.)の単位は1コンテナ最小1000袋(1袋=20kg)。当然ながら、出荷量を予想しながら輸入の判断をすることは、相当難しいものになります。おかげさまで、大手製パン会社さんはもろちん北海道から沖縄にいたるパン屋さんに、これまで優れたローマンミール製品を安定的にご提供してまいりました。今後も引き続き日本の食卓に美味しいパンをお届けしたいと思っています。何より、名前も知らない米国ビジネスマンの何気ない行動から、食文化のちょっとしたムーブメントを知り日本ローマンミールの事業展開に大きな変化がもたらされる予見と未開のポテンシャルを示唆された……。こうした新たな“気づき”は私にとって大きな収穫です。

―杉山商事とのご関係についてお聞かせください。

日本ローマンミール(株)は日本を代表する大手製パン会社さんと長きにわたってお取引させていただいていますが、そのパンの原材料となる穀物を輸入しているのが日本ローマンミールであり、さらにその穀物を日本全国へ供給しているのが杉山商事(株)さんです。日本ローマンミールが業務を開始した約30年前は、製パン会社が商品を提供するエリアはある程度限られていました。ところが今では、数百キロ離れた工場で深夜に製造されたパンが、朝には首都圏のコンビニの商品棚に置かれる時代に様変わりし、同時に私たちのオペレーションシステムにも大きな変革が求められるように……。
今では、大阪と東京にメインのストックポイントを設置し、そこから各主要都市に配置した営業所の在庫をコントロールすることで、需給状況に見合った在庫の調整ノウハウを確立していますが、高品質の商品の安定供給、原価を抑えた物流システムなど、あらゆる側面から柔軟かつ迅速なソリューションスキルがなければ、変化に取り残されてしまいかねません。わたくしどもが、長きにわたって杉山商事さんに総販売代理店をお願いしてきた理由は、あらゆる要望に迅速に応えうるスピード感、優れたオペレーション力、ノウハウの面で一任できる会社だったからにほかなりません。

―パン業界ならではの知られざる逸話はございますか?

大手の製パン会社さんが新商品を開発した際、その情報は販売直前に告知されることが多いんですね。さらに、全国でその製品が供給される穀物ミックスの使用量が急増することを意味しますので、私たちはその商品をあらかじめ大量に確保しなければなりません。実際にこれまで何度も「新商品○○が○月に全国で発売されるらしい」という情報を、いち早く入手した杉山商事さんのおかげで、迅速に在庫を厚めに確保することで急場を乗り切ってきました。また、在庫が底をつく事態に陥り「このままでは来週にはアウト!」という一刻一秒を争う場面でも、採算度外視で航空便での輸入を断行するなど、綱渡りの中で知恵と方策を駆使して難局を切り抜けてきました。さらに、ギリギリの在庫の状態の中で補充のために輸入した穀物が、2週間あまり通関で留め置かれることも(苦笑)。これは通関での検査によるものですが、世界を舞台にしたビジネスには予想だにしない緊急事態が突発的に起こりますし、情報戦を勝ち抜く知恵も必要です。その点、私にとっての“知恵袋”は優れたビジネスパートナーにほかなりませんので、今後も杉山商事とのタッグをより強化していきたいですね。

―ご苦労、努力、根気といった点でのエピソードがあれば。

ええ、それはたくさん(笑)。例えば、日本は世界でも有数の品質意識の高い国ですが、昔は輸入穀物の中の「茎、殻」などの混入比率が高い時代もありました。とはいえ「茎、殻」の混ざった商品は今でもアメリカでは問題なく使用されていますし、健康上に影響を及ぼすものではないのですが、ただし日本ではそうはいきません。
そこで杉山商事さんと「異物混入」にかかるレポートを作成し、さらには米国の製造工場と直接交渉し、日本規格に適合した異物選別機(Grader)や色彩選別機を導入。日本独自の“品質意識”を米国に輸出する作業は根気もいりましたし、長い時間も必要でしたが、今では品質保証の面で安心して製品を輸入できる体制が整うに至っています。とはいえ油断は禁物。私は今も船積みされてきたコンテナから下ろされた製品検査作業に立ちあっています。それはひとえに、不断の努力なくして「お客様からの信用は勝ち取れない」という認識をもっているからです。

―日本ローマンミールは、今後どのような発展を遂げていくのでしょうか?

昨今は商品の提供にスピード、効率、安定、柔軟性の全てが求められて、これからもきっと、オペレーションの高度化がさらに加速していくと思います。そんな中、何よりも大切にしたいのはホールグレインに対する品質、安全性をより高い次元で確保し、栄養価に富んだローマンミール製品をお届けすること。今後も時代を先取りしたビジネスを展開すべく、杉山商事さんとの連携をさらに密にしていきたいと考えています。

Roman Meal Japan K.K.ビジネス ディベロップメント アドバイザー

吉原 のりお

2009年よりビジネス ディベロップメント アドバイザーとして日本ローマンミール(株)に従事。米国ローマンミール社とは長い関係にあり、80年代にローマンミール社の日本進出時に通訳としても協力。近畿大学卒業後、輸入専門商社に入社。80年に(株)ニューブリッジを設立。これまでにオーストラリア、アメリカ、メキシコ、ニュージーランド、インド、韓国、ベトナム、スリランカなどとの輸入業務に携わり、日本税関及び検疫の規定に精通。吉原氏のもつ輸入業経験と優れた営業能力は、世界のさまざまなパートナーが日本市場を理解し、輸入業務を円滑に行ううえで計り知れない助けとなっている。

ローマンミールカンパニー
Roman Meal CompanyHP

ウィリアム P. マティが1912年に、アメリカ北西部ワシントン州タコマ市にて創業。古代ローマ軍の兵士が1日2パウンド(約900g)の小麦とライ麦を食べ、強健な体とスタミナを維持しながら世界を征服した歴史から学び、品質・栄養価の高いホールグレインブレッドとシリアルを製造している。全米に流通するノンホワイトブレッド(茶色いパン)の銘柄は世界各国で愛され、今では日本、メキシコ、バハマ、アジア諸国の製パン工場にてライセンス生産されるブランドへと成長。日本では1980年代より販売が開始され、食パン、ロールパン、イングリッシュマフィンなどを全国で販売している。

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