ソリューション事例

厳選した食材と料理人の技のコラボレーションから生まれた創作菓子、『ラム納言』。

食品原材料の専門商社として、170余年の歴史を歩んできた杉山商事。 現在、食品の原材料を取り扱うのみにとどまらず、食品の企画開発にも携わり、付加価値の高いソリューションを提供していくプロジェクトを推進しています。 そんな中で生まれた一つの事例が、今回ご紹介する創作菓子の『ラム納言』。 その誕生の裏には強力なパートナー、料理人・野永喜三夫氏とのコラボレーションがありました。 いかにして、人気商品『ラム納言』は生まれたのか。その開発ストーリーを、野永氏にお聞きしました。

―『ラム納言』が生まれたきっかけは?

杉山商事さんからインターネット上で販売できるものをつくれないかという、ご相談をうけたのがはじまりでしたね。 食材の卸だけにとどまらず、小売りをしたい、と。 それで杉山商事社内で試された複数の試作品を「ちょっとこういうものを作ってみたんですけど」とご持参された。 それに対して、料理人としてのアドバイスをしながら、つくりあげていったのが、煮小豆にラム酒を掛けた、『ラム納言』でした。 ほかにも、黒豆をマロングラッセのように調理したものや、きなこを振り掛けたもの、黒糖を用いたバージョンなど、いろいろな組み合わせを試しましたよ。 しかし、食べてみたところ、ラムと小豆の組み合わせがいちばんおいしかった。お客様や"食"の業界関係者に試していただいたときも、「ありそうでなかったよね」と好評でした。

―野永さんから見た『ラム納言』の魅力は?

『ラム納言』が生まれたときの最初の感想は、「おもしろいな」と思いました。 私も和洋折衷の感覚で様々な食材を組み合わせるのですが、食材のことを良くわかっている杉山商事と一緒に考えたからこそ、生まれた発想なのかなと。 豆は、健康的な食材ですし、マクロビオティックなどの時流にもあっている。『ラム納言』は、そのまま食べても美味しいし、アイスクリームやロールケーキに混ぜても美味しい。 国内はもちろん、海外にも通用すると思っています。海外では甘納豆など甘く調味された豆を食べる習慣はないんですよ。 でも、ぶどうをラム酒につけたラムレーズンは一般的に食されているから、この組み合わせには可能性がある。

―開発で苦労されたことは?

試作から完成まで、実に1年近くかかりましたね。 ラム酒と小豆を使うのは早くから決まっていたのですが、調理した時の色合いや香りにこだわって、何度も杉山商事の担当の方と話し合い、試作を繰り返してつくっていったんです。 とりわけ、最後まで調整を続けたのは、アルコール度数でしょうか。結局、何度のラム酒を使うかによって、香りがぜんぜんちがってくる。 同じラム酒でも、45度と55度があって、45度でも2種類がある。最終的には、いちばん強い55度で豆を漬けると香りも味もベストという結論にいたりました。

―味や香りの他にはどんな工夫がありましたか?

食品として完成してからは、パッケージデザインや包装にもこだわりました。 包装の分量も、箱をあける人の立場に立って、この個数だと少ないとか多いとか。 販路に関しても、銀座の飲み屋さんにおけば売れるだろうとアドバイスしました。 ブランデーやウィスキーのおつまみによくチョコレートが出てきますが、実は、あまりいい組み合わせとは言えないんですよね。 せっかく口の中で溶けたチョコレートが、冷たいお酒で固まってしまうから"のどごし"が滑らかじゃない。 その点、ラムは樽酒で、ブランデーやウィスキーと同じだから絶妙にマッチするんですよね。 お土産用とお店で出す業務用の需要が考えられるので、先回りして2つの商品をつくりました。 私のお店でもお土産として販売しているのですが、リピーターが多く「いつものちょうだい」と注文が入るくらい人気ですよ。

―今後、杉山商事へ期待することは?

『ラム納言』の開発を通して感じたことですが、杉山商事さんは食材のプロフェッショナルだから非常に安心感があります。 素材の良さ・特性を理解し、いっしょに食材を選んでいける強みがある。 今後もたくさんの方とリンクして、新しい挑戦を続けてほしいですね。 食べ方や調理の仕方なんかも発信してはどうでしょう?ぜひ、当店のホームページでも紹介したいです。 これからも新しい"食"の可能性を発信し、日本、そして世界の食文化を変えていってくださることを期待しています。

野永 喜三夫

1972年生まれ。日本料理店「日本橋ゆかり」の三代目。和・洋・中の料理人が集い、その腕を競うTV番組「料理の鉄人Japan-Cup」で、2002年に総合優勝を果たす。 2003年には、ニューヨークタイムズ紙の「日本の若手料理人5人」に選出。同年、「日本のグラン・シェフ - 皿を彩る55人のアーティスト」に、最年少で紹介される。 また、これまで「日食文化フェスティバル in NY FLAVORS OF JAPAN -Gastronomic Discovery」への参加や、アメリカ3都市「シカゴ・デトロイト・ボストン」での日本食レクチャー・デモンストレーション、 様々な企業の商品の監修など、"食"に関する多彩な分野で活躍。

日本橋ゆかりHP

東京都中央区日本橋3-2-14
営業時間: 午前11:30~午後2:00 午後5:00~午後10:00
お問い合せ: 03-3271-3436

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