私の育った実家のそばの丘の上に磯子プリンスこと横浜プリンスホテルがあります。
旧、東伏見宮別邸であり磯子の海を見晴らす、皇族の安らぎの邸宅、庭園が戦後、資本の手に渡り皇子たちの別邸いわゆるプリンスホテルへと生まれ変わったのが50年前、今ではホテルも景観もすっかり様代わりしてしまいましたけど・・そのホテルが残念ながら今月末で閉館になってしまいます。
幼い頃から慣れ親しんできた磯子プリンス・・思い出がいっぱいです。
季節は夏、小学生。プール開きをすると一目散にでかけます。父が仕事上ホテルに出入りしていた為、水着と浮き輪姿のまま通用口から入ってプール係りのおねーさんに「おはよう!」と一言、一日泳いでかえってきます。
夏の夜は父とビアガーデンへでかけます。母にせがんでちょうちん袖のワンピースに着替えさせてもらい、ちょっぴりすまして・・♪芝生の上でバンドの演奏が軽やかに風にちょうちんが揺れ、大人たちがお酒をのむ中、私は銀のお皿にポコンとのったアイスクリームを万感な思いでいただいていました。
初めてフォークとナイフを使って食事をしたのもホテルのレストランでした。
小4の春に祖母のお祝いの席でナプキンを胸にあて、大人のお皿から取り分けられるのではなく一人前のコース料理を最後まで頂いたことがとても嬉しくて・・ボーイさんがバスケットに入った色々なパンを「どーぞ」ともってきてくれた時、迷った私に祖母が「好きなパンを二つぐらい頂けば?」と言ってくれたので緊張しながらも二つのパンを乗せてもらった事、そして今でも食事にでかけるとパンは、二つ、お皿にとっている私です。
お祝い事、法事、成人式、結納、結婚式と物事の節目にはお世話になってきました。
もうなくなってしまう、思い出のホテル・・日曜日に最後の食事に行ってきました。植物園に寄って記念になる植木も購入してきました。ホテルの催すグランドフィナーレが華やかで、来客も大勢でした。長い間本当にありがとう・・・
出かける時には一番好きな服を着て出かけました。あの夏の日、母にせがんで着せてもらったちょうちん袖のワンピースを思い出して・・。
林 ヤスミ