この時季になると、いつも不思議に思うことがある。それは、柏餅についてであるが、何故、柏餅にのみ「みそあん」があるのか?という疑問である。私は柏餅の「みそあん」が好物であり、この時季に、“思いっきり”食べる。子供の頃、家族から「この子は変なものが好きで・・」と言われ、子供ながらにその美味しさを必死に訴えた記憶がある。親も仕方なく食べたのであろう。その美味しさを認めてくれ、その後、我が家で買う柏餅の半分は「みそあん」になった。妻も娘たちもが「みそあん」の柏餅を食べる。最初はちょっと尻込みしたのではあるが、今では其のおいしさを認めてくれている。うれしいことである。「つぶあん」も「こしあん」も美味しいことは、認める。しかし、冒頭にも書いたように、「みそあん」は私の知りえる範囲では柏餅だけなのだ。真夏日にコンビニでおでんが売られ、雪景色の中でアイスコーヒーが飲め、お餅を1年中買えるような便利な時代に、何故柏餅の「みそあん」だけはこの時期にしかないのだろうか。ほのかな塩味の中に甘さがあり、じつに見事に調和している、といったら大袈裟ではあるが・・・.
娘たちに言わせると「美味しいことは認めるけど、ずっとあったら飽きるかも・・」、「他の和菓子に使い難いのでは・・・」、「今しか食べられないからいいのだ」等々の意見が出た。そんな家族の会話を聞きながら、私は3個目になるみそあんの柏餅を口に運んだ。美味である。
西田 照孝